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大阪地方裁判所 昭和58年(わ)6422号 判決

本籍

大阪市東成区玉津二丁目二四番地

住居

大阪市南区高津二丁目四番二一号 日本橋レジデンス五〇三号

カフェー経営

原田定子

昭和一八年一〇月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官岩永建保出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市南区千日前二丁目八番八号等に店舗を設けてカフェーを経営するものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和五五年分の所得金額が二一、三二四、三八七円で、これに対する所得税額が七、六四九、九〇〇円であるにもかかわらず、収支に関する記帳を行わないで、右所得の一部を秘匿したうえ、同五六年三月一六日、大阪市南区谷町七丁目五番二三号所在の所轄南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一、七八四、〇〇〇円で、これに対する所得税が一五〇、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税七、四七七、三〇〇円を免れ、

第二  昭和五六年分の所得金額が六一、一八七、六七六円で、これに対する所得税額が三二、二〇九、五〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五七年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一、六〇〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額が一四六、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税三二、〇六二、六〇〇円を免れ

第三  昭和五七年分の所得金額が七六、八八四、五七五円で、これに対する所得税額が四二、九五四、二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五八年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が四、二七一、四六〇円で、これに対する所得税額が六二六、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税四二、三二八、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官および大蔵事務官(一二通)に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一三通

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書三通

一  大蔵事務官作成の所得税確定申告書謄本三通

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料抄本

(法令の適用)

判示第一の所為

行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項に、裁判時においては右改正後の同法二三八条一項に該当、刑法六条、一〇条により軽い行為時の法の刑による、懲役刑、罰金刑を併科し、情状により所得税法二三八条二項

判示第二、第三の各所為

右改正後の所得税法二三八条一項、各懲役刑、罰金刑を併科し、情状により同条二項

併合加重

刑法四五条前段、懲役刑につき刑法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に加重、罰金刑につき同法四八条二項

換刑留置処分(罰金刑につき)

刑法一八条

執行猶予(懲役刑につき)

刑法二五条一項

訴訟費用

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

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